依頼費用の相場と見方

過払い金請求をする際に、法務事務所などの依頼先に支払う費用の内訳やそれぞれの目安となる数字を解説していきたいと思います。

過払い金請求にかかる費用の内訳と相場

そもそものお話として、過払い金の返還を望まれている方の多くは、程度の差はあれ、経済状況が芳しくないというお悩みを抱えているはずです。

それ故に、過払い金請求にかかる費用はなるべく抑えたい、出来ればご自分でやってしまいたいと思うのは人情でしょう。

しかし「手続きの流れ」のページでも述べました通り、現実には個人で過払い請求を行うとなると、ハードルかなり高くなります。

餅は餅屋のことわざに倣い、過払い金の請求は、法務事務所などの専門家に依頼するのが賢明です。

そこで気になるのが、過払い金請求にかかる費用です。これはハッキリ言って、事務所ごとに設定が異なります。

そしてまたややこしいことに、支払う報酬も細分化されています。一部、例外もありますが、法務事務所などに支払う費用は、相談料、着手金/基本報酬、成功報酬の3つがあります。

  • 「相談料」…過払い金の請求ができるか否か、どれくらい戻ってきそうかなどを調べるための費用です。近年では無料としている所が増えています。
  • 「着手金/基本報酬」…取り戻した金額の大小に関わらず、弁護士や司法書士が活動することに対して支払われる報酬です。通常、交渉する金融機関1社につき幾らとなっています。これらを設けず、成功報酬のみとしている所も増えています。
  • 「成功報酬」…取り戻した過払い金の額に応じて支払う報酬です。取り戻した金額の○○%と設定されている場合がほとんどです。

その上で、もうひとつ気になるのが、それぞれの費用相場でしょう。

まず、「相談料」については、0円のところから、3万円程度のところまで幅があります。「着手金/基本報酬」についても、安いところでは1万円前後、高めのところでは4万円前後という感じになります。

成功報酬についても幅があり、安いところは15%、高いところでは30%となっています。また、いわゆるヤミ金業者などを相手とする場合、金額や割合が増加するというケースもあります。

いかがでしょうか?ひと口に過払い金の請求依頼といっても、依頼先によって大きな差があることがお分かりいただけたと思います。

重要なのは、「トータルな費用総額」で考えるという点です。例えば、複数の金融機関を相手にする場合は、基本報酬がなるべく安い事務所が望ましいと言えます。

交渉する金融機関1社につき幾らとしている場合が多いので、複数の金融機関に請求を行う場合は金額がかさむことも計算しておく必要があります。

もうひとつ、最近では過払い金返還をテレビCMなどでアピールしている大手弁護士事務所などもありますが、そうした所は、概ね費用面も高めに設定されています。この点もしっかり踏まえておいた方がよいでしょう。

依頼費用には含まれない裁判にかかる実費

全ての過払い請求が和解で済めばいいのですが、場合によっては裁判にまで発展することもあります。

このとき、弁護士に依頼することで発生する着手金や基本報酬、成功報酬などとは別途に、裁判に必要な実費も個人が支払わなくてはなりません。

つまり、過払い金請求をする際には、弁護士への依頼費用だけでなく、裁判になった場合の費用のことも念頭に置いておかなければならないのです。

実費は具体的には裁判所に納める収入印紙代や郵便切手代、交通通信費などがそれにあたります。

裁判を起こすときには、訴状や申立書を裁判所に提出する必要があり、その手数料として収入印紙を紙に貼り付けて提出します。

収入印紙は、請求額が100万円以下の場合は、10万円ごとに1,000円分が必要です。

500万円以下の請求額なら、20万円ごとに1,000円。

1000万円以下なら、それが50万円ごとに2,000円となります。

印紙代はさらに高い金額まで設定されていますが、過払い金返還で1,000万円以上の請求はめったにないことなので省かせていただきます。

これら以外では、さらに郵便切手も裁判の最初に裁判所に納めなければなりません。

東京地方裁判所の場合では、原告1名に被告1名のときで6,000円。

どちらか一方がひとり増えるごとに2,000円増額といったように定められています。

こうした実費は実際に手続きなどをすることになる弁護士などに払うことになりますが、その支払い時期や支払い方法は契約ごとにまちまちで、一概にこうとは言い切れません。

いずれにしろ過払い金請求の額が多ければ多いほど印紙代も高くなることを覚えておけば、後でとまどうことはないでしょう。

また、裁判で勝訴すれば訴訟にかかったこれらの実費も過払い金と一緒に回収が可能です。

事務所にもよりますが、このときの過払い返還金から依頼費用と一緒に実費を支払うことができますし、中にはかかった費用を分割払いにしてくれるところもあります。