過払い金返還請求の最高裁判例

過払い金返還請求に関する、最高裁判所の判例を紹介していきます。

取引履歴開示の義務に関する判決

 過払い金の返還請求を行う際に、必ず必要になるものが取引履歴です。

取引履歴とは、借金をした際の、借入年月日、借入金額、返済年月日、返済金額の履歴を、金融業者から開示してもらうものです。これがなければ過払い金の詳細が分からず、返還請求を行うことができません。

過払い金の返還をなるべく行いたくない金融業者としては、なるべく取引履歴を出したがりません。

ですが、取引履歴の開示の義務は、過去の判例に出ております。

●平成17年7月19日最高裁判決

貸金業者は,債務者から取引履歴の開示を求められた場合には,その開示要求が濫用にわたると認められるなど特段の事情のない限り,貸金業の規制等に関する法律の適用を受ける金銭消費貸借契約の付随義務として,信義則上,その業務に関する帳簿に基づいて取引履歴を開示すべき義務を負う。

引用元URL:http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=52411

この判決によって、金融業者が取引履歴の開示を拒否する場合、違法性を有する不法行為であるとされました。

大手の金融機関であってもなかなか取引履歴を開示したがりません。古いデータは保管していない、などの理由をつけて拒否してくるといったことは珍しくありません。

取引履歴を残していないということは、特殊な事情がない限り、基本的には考えられません。この判決からも、取引履歴の開示は契約上の義務として扱われておりますので、ちゃんと取引履歴の請求をしましょう。

取引履歴の開示請求は個人でも行えますが、不安のある方や、手間をかけられないという方は、法律事務所や司法書士事務所に依頼することをお勧めします。

みなし弁済に関する判決

みなし弁済とは、旧貸金業規制法(現・貸金業法)にあった、債務者にとって非常に不利な法制度のことです。

旧貸金業規制法43条を満たす場合、利息制限法の制限利率(15~20%)を超える利率の利息が認められるというものです。

みなし弁済に必要な5つの項目は以下でした。

  1. 1. 貸金業登録されている貸金業者であること
  2. 2. 貸付の際に,貸金業規制法17条の要件を満たす書面を交付したこと
  3. 3. 弁済の際に,貸金業規制法18条の要件を満たす書面を直ちに交付したこと
  4. 4. 借主が,利息の支払いと認識して約定利息を支払ったこと
  5. 5. 借主が,任意に約定利息を支払ったこと

上記5つの項目を満たす場合、みなし弁済として、利息制限法を越える利率の利息(~29.2%)が認められておりました。

しかし、以下の判決によって、⑤が適用されることがほぼ無くなったため、このみなし弁済は撤廃されることとなりました。

●平成18年1月13日最高裁判決

  • 貸金業の規制等に関する法律施行規則15条2項の規定のうち,貸金業者が弁済を受けた債権に係る貸付けの契約を契約番号その他により明示することをもって,貸金業の規制等に関する法律18条1項1号から3号までに掲げる事項の記載に代えることができる旨定めた部分は,同法の委任の範囲を逸脱した違法な規定として無効である。
  • 利息制限法所定の制限を超える約定利息と共に元本を分割返済する約定の金銭消費貸借に,債務者が元本又は約定利息の支払を遅滞したときには当然に期限の利益を喪失する旨の特約が付されている場合,同特約中,債務者が約定利息のうち制限超過部分の支払を怠った場合に期限の利益を喪失するとする部分は,同法1条1項の趣旨に反して無効であり,債務者は,約定の元本及び同項所定の利息の制限額を支払いさえすれば,期限の利益を喪失することはない。
  • 利息制限法所定の制限を超える約定利息と共に元本を分割返済する約定の金銭消費貸借において,債務者が,元本又は約定利息の支払を遅滞したときには当然に期限の利益を喪失する旨の特約の下で,利息として上記制限を超える額の金銭を支払った場合には,債務者において約定の元本と共に上記制限を超える約定利息を支払わない限り期限の利益を喪失するとの誤解が生じなかったといえるような特段の事情のない限り,制限超過部分の支払は,貸金業の規制等に関する法律43条1項にいう「債務者が利息として任意に支払った」ものということはできない。
  • 引用元URL:http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=52404

要約すると、事実上支払を強制していると考えられ、「⑤借主が,任意に約定利息を支払った」と認められなくなったため、みなし弁済は適用されなくなりました。

まだ一部の業者はみなし弁済を主張してくるケースがありますが、制限超過利息は現在の利息制限法では無効です。その超過分については元本への返済や、過払い金として返還されるものとなります。